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[Books]陳舜臣 その2 [Books]

昨日に続き、陳舜臣の「諸葛孔明」について。

諸葛孔明は、なぜ、北伐にこだわったのであろうか。
天下三分の計をなし、蜀の地を豊かにし、国力を蓄えていくことが、最も良い選択だったのではなかったのであろうかというのが、私見である。事実、孔明は史実の三国志では有能な内政官として実績を残している。要害に囲まれた蜀は攻めにくく、守りやすい土地だっただけに、防衛に力をそそぐことがベストな政策だったと思う。しかし、孔明は、軍をあげて国力を疲弊させ、蜀滅亡につながってしまった。当時の状況がやむを得ず、北伐に向かわせたものだったのか。
当時、蜀は人口90万人しかいなかったという。このままでは、ジリ貧でどちらにしても滅亡だったのかもしれない。
だからといって、北伐が一番良い政策だったのか。だとすれば、曹操はすでに亡くなっていたにしても彼の子孫を討ちたいという私闘ではなかったと言い切れないと思う。

歴史小説の醍醐味は、歴史的資料を背景に心情を語っていくことだと私は考えている。陳舜臣氏の歴史小説はこれに当てはまる。彼の三国志観は、良い影響を与えてくれた。三国志演義では希代の名宰相として描かれていた孔明であるが恨みやトラウマに、縛られていたのではないかということは、あまり想像したくはない。しかし、当時高校生だった私は三国志観を考え直す機会をくれた陳舜臣氏に感謝したことを今でも、はっきり、覚えている。

改めて、ありがとうございました。安らかにお眠りください。
タグ:Books 陳舜臣
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